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身体障害者手帳の等級・判定基準から更新手続きまで完全ガイド【2025年最新版】

身体に障害がある方々の生活をサポートする重要な制度である身体障害者手帳。この手帳は、身体障害者福祉法に基づいて交付される公的な証明書で、障害の程度に応じた様々な福祉サービスや支援を受けるための重要な鍵となります。視覚障害聴覚障害、肢体不自由、内部障害など、対象となる障害は多岐にわたり、それぞれに詳細な等級制度と判定基準が設けられています。

多くの方が疑問に思われるのが、等級の決定方法や更新の必要性、そして実際の申請手続きについてです。特に、等級によって受けられるサービス内容が大きく異なるため、正確な情報を把握することは非常に重要です。また、2025年現在ではデジタル化も進展しており、ミライロIDなどの新しいサービスも登場しています。

この記事では、身体障害者手帳の等級制度から具体的な判定基準、更新手続きの流れ、そして取得によるメリットまで、制度を理解し活用するために必要な情報を分かりやすく解説していきます。

身体障害者手帳の等級制度とは?1級から7級までの違いを詳しく教えて

身体障害者手帳の等級制度は、障害の程度を客観的に評価し、適切な支援を提供するための重要な仕組みです。等級は1級から7級まで設定されており、1級が最も重度の障害、数字が大きくなるにつれて障害の程度は軽度となります。

ただし、すべての障害種別で1級から7級まで設定されているわけではありません。7級の障害単独では手帳の交付対象外となり、2つ以上の7級障害が重複する場合にのみ6級として認定される特殊な扱いがあります。

障害種別による等級設定の違いを見ると、視覚障害では1級から6級まで、聴覚障害では2級、3級、4級、6級のみ(1級、5級、7級は設定なし)、音声・言語・そしゃく機能障害では3級と4級のみ、肢体不自由では1級から7級まで、内部障害(心臓、腎臓、呼吸器など)では1級、3級、4級のみ(多くの場合2級は設定なし)となっています。

重複障害がある場合の等級認定には特別な計算方法が適用されます。各等級に指数が割り当てられており(1級:18、2級:11、3級:7、4級:4、5級:2、6級:1)、複数の障害がある場合はこれらの指数を合算して総合等級を決定します。例えば、心臓機能障害3級(指数7)と肢体不自由4級(指数4)を併せ持つ場合、合計指数は11となり、2級として認定されます。

等級は単なる障害の程度を示すだけでなく、受けられる支援やサービス内容を決定する重要な要素です。特に1級・2級の重度障害者には、税制上の特別障害者控除や、交通機関利用時の付添人割引など、より手厚い支援が提供されます。また、就労支援においても、等級によって利用できるサービス内容や雇用率制度での扱いが異なる場合があります。

身体障害者手帳の判定基準はどうなっている?障害種別ごとの具体的な認定条件

身体障害者手帳の判定基準は、身体障害者福祉法施行令別表と身体障害者障害程度等級表に基づいて厳格に定められています。これらの基準は医学の進歩に伴って定期的に見直しが行われており、近年では人工関節や心臓ペースメーカーなどの医療技術の発達を反映した改正が実施されています。

視覚障害の判定基準は平成30年7月1日に大幅な見直しが行われました。1級では両眼の視力がそれぞれ0.01以下、または両眼の視野がそれぞれ5度以内のものが該当します。2級では両眼の視力の和が0.02以上0.04以下、または両眼の視野がそれぞれ10度以内で視能率による損失率が95パーセント以上のものが対象となります。6級では一眼の視力が0.02以下で他眼の視力が0.6以下のもの、または両眼による視野について視能率による損失率が70パーセント以上のものが該当します。

聴覚障害の判定基準平成27年4月1日に見直されました。2級は両耳の聴力レベルがそれぞれ100デシベル以上、3級は両耳の聴力レベルがそれぞれ90デシベル以上または語音明瞭度が30パーセント以下、4級は両耳の聴力レベルがそれぞれ80デシベル以上または語音明瞭度が50パーセント以下、6級は語音明瞭度が70パーセント以下または一側耳90デシベル以上で他側耳50デシベル以上が基準となっています。

肢体不自由の判定は上肢機能障害、下肢機能障害、体幹機能障害、脳原性運動機能障害の4つのカテゴリーに分けて評価されます。重要なポイントは、義肢や装具などの補装具を装着しない状態で判定されることです。上肢1級では両上肢の機能を全廃したもの、下肢1級では両下肢を大腿の2分の1以上で欠くものが該当します。

内部障害の判定では、各臓器の機能障害によって日常生活活動がどの程度制限されるかが評価されます。心臓機能障害1級では自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されるもの、3級では家庭内での日常生活活動が著しく制限されるもの、4級では社会での日常生活活動が著しく制限されるものが基準となっています。腎臓機能障害、呼吸器機能障害なども同様の基準で判定されます。

判定にあたっては、身体障害者福祉法第15条の指定医師による診断書・意見書が必須となります。指定医師以外が作成した診断書は一切受け付けられないため、事前に医療機関での指定医在籍確認が重要です。

身体障害者手帳に更新手続きは必要?再認定制度の仕組みと対象者

身体障害者手帳には原則として有効期限は設定されていません。これは身体障害が永続的なものであることが前提となっているためです。しかし、医学的に障害の程度に変化が予想される場合には、再認定制度が適用されることがあります。

再認定制度は、手帳交付から一定期間(1年以上5年以内)を置いて実施される特別な制度です。再認定の時期は手帳交付時に都道府県知事が指定し、該当者には再認定時期の約2か月前に通知が送られます。この制度の目的は、医療技術の進歩や治療効果によって障害の程度が軽減される可能性がある方について、適正な等級認定を維持することです。

再認定の対象となりやすいケースには、若年者の障害(成長に伴う変化が期待される場合)、手術や治療によって機能改善が見込まれる障害、進行性疾患で症状の変化が予想される障害などがあります。具体的には、先天性心疾患の手術後、人工関節置換術後、角膜移植後、腎移植後などが該当する場合があります。

再認定の手続きでは、新たに指定医師による診断書・意見書の作成が必要となります。この診断書に基づいて再度審査が行われ、障害程度等級表に該当する障害があると認められれば手帳は更新されます。一方、基準に満たない場合は手帳の返納が必要となります。

再認定以外にも、等級変更の申請は随時可能です。障害の状態が悪化または軽減した場合、現在の身体障害者手帳、変更を申請する障害に関する指定医師による診断書・意見書、写真を用意して市区町村の障害福祉担当窓口で手続きを行います。審査には通常1か月から3か月程度かかり、変更が認められた場合は新しい手帳が交付されます。

デジタル化の進展により、2025年現在では手帳情報の管理も効率化されています。ミライロIDなどのデジタル障害者手帳アプリを利用している場合でも、再認定や等級変更の際は物理的な手帳の更新手続きが必要となります。マイナポータル連携により、自治体との手続きもスムーズになっている地域が増えています。

身体障害者手帳の申請から交付までの流れは?必要書類と手続き方法

身体障害者手帳の申請は、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口で行います。申請から交付までは通常1か月から1か月半程度ですが、審査状況により最大4か月程度かかる場合もあります。

申請の流れは以下の通りです。まず、市区町村の障害福祉担当窓口で申請の相談を行い、申請意思を伝えます。担当課から「身体障害者診断書・意見書」の用紙を受け取り、身体障害者福祉法第15条の指定医師による診断書・意見書の作成を依頼します。指定医師以外では診断書を作成できないため、事前に医療機関での確認が重要です。

必要書類は以下の通りです。交付申請書(窓口で入手)、身体障害者診断書・意見書(指定医師が作成、申請日から概ね3か月以内のもの)、写真(縦4センチ×横3センチ、1年以内に撮影した上半身、無帽、無背景のもの)、印鑑、マイナンバーが分かるもの(通知カードまたはマイナンバーカード)が必要です。

マイナンバーの取り扱いについては、平成28年1月以降、申請書への記載が必須となっています。番号確認と身元確認のできる書類の提示が求められるため、マイナンバーカードがあれば1枚で済みますが、通知カードの場合は別途身元確認書類(運転免許証、パスポートなど)が必要です。

申請費用は無料ですが、指定医師による診断書作成には医療機関への支払いが発生します。診断書料は医療機関によって異なりますが、一般的に5,000円から15,000円程度が相場となっています。診断にあたって検査が必要な場合は、別途検査費用がかかることもあります。

審査プロセスでは、提出された診断書・意見書をもとに、都道府県の身体障害者更生相談所または市の障害者更生相談所で専門的な審査が行われます。必要に応じて追加の医学的検査や面接が実施される場合もあります。審査の結果、障害程度等級表に該当すると認められれば手帳が交付されます。

手帳の受け取りは、申請を行った市区町村の窓口で行います。交付準備が整うと連絡があるため、印鑑を持参して受け取りに行きます。手帳には氏名、住所、障害名、等級、交付年月日、有効期限(再認定対象者のみ)、顔写真などが記載されています。

申請が認められなかった場合は、都道府県知事に対して不服申立てをすることができます。不服申立ての期限は認定結果を知った日の翌日から60日以内です。また、障害の状態が変化した場合は、再度申請を行うことも可能です。

身体障害者手帳を取得するメリットは?受けられる支援とサービス内容

身体障害者手帳を取得することで、日常生活から就労支援まで幅広い分野での支援を受けることができます。これらの支援は、障害のある方々の社会参加促進と生活の質向上を目的として制度化されています。

税制上の優遇措置は重要なメリットの一つです。所得税で27万円、住民税で26万円の障害者控除を受けることができ、1級・2級の重度身体障害者の場合は所得税で40万円、住民税で30万円の特別障害者控除となります。自動車税自動車取得税の減免も一定の条件を満たせば適用され、相続税贈与税では特定贈与信託を利用することで重度身体障害者は6000万円まで、その他の身体障害者は3000万円まで贈与税が非課税となります。

交通機関の運賃割引では、JRをはじめとする鉄道各社で運賃が5割引(半額)となります。第1種身体障害者の場合は付添人も同様の割引が適用されます。航空運賃も25パーセントから37パーセント程度の割引、高速道路通行料金もETC利用で5割引となります。路線バスやタクシーでも多くの事業者で割引サービスが提供されています。

公共料金の割引も充実しており、NHK放送受信料は障害の程度や世帯の状況に応じて半額割引または全額免除が適用されます。携帯電話各社も障害者向けの割引プラン(ドコモのハーティ割引auスマイルハート割引ソフトバンクハートフレンド割引など)を提供しています。

娯楽施設での割引では、全国ほとんどの映画館で通常料金1800円から1900円が1000円に割引されます。美術館、博物館、動物園、遊園地などでも入場料の割引が受けられ、文化的な活動への参加機会が広がります。

医療費助成制度として、重度障害者医療費助成制度により医療費の自己負担額が軽減されます。自立支援医療(更生医療)では、身体障害者の更生のために必要な医療について医療費の自己負担額を軽減する制度があり、角膜移植術、心臓手術、腎臓移植術、人工透析、肢体不自由に対する手術などが対象となります。

就労支援では、一般採用だけでなく障害者雇用での募集にも応募できるようになり、選択肢が広がります。障害者雇用促進法により、一定規模以上の企業は障害者の雇用が義務付けられており、就職の機会が増加しています。ハローワークでは専門の職員による職業相談、職業紹介を実施し、障害者職業センターでは職業評価、職業準備支援、ジョブコーチ支援などの専門的なサービスを提供しています。

生活支援制度では、日常生活用具給付事業により特殊寝台、入浴補助用具、移動・移乗支援用具、情報・通信支援用具などの給付または貸与を受けることができます。補装具費支給制度では義肢、装具、車椅子、補聴器などの購入または修理費用が支給されます。住宅改修費助成では段差の解消、手すりの取付け、洋式便器への取替えなどの費用が助成されます。

デジタル化によるメリットも2025年現在では重要になっています。ミライロIDなどのデジタル障害者手帳アプリにより、スマートフォンで手帳情報を表示でき、全国4,190の事業者で利用可能となっています。マイナポータル連携により、より確実で安全な本人確認ができ、手続きの簡素化も進んでいます。

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